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日本教育デザイン学会は、「デザイン思考」でこれからの教育を創造することを目的とした学会です。

新たな教育を想像し 創造する!

組織マネジメントOrganization Management

 時代が大きく変わり、右肩上がりの安定成長の時代はすでに終わっています。そして、その影響は教育にも当然のように及び、「管理・監督」を基盤とした学校運営は終わろうとしています。
 しかし、情報化の進展を前提とした知識基盤社会における教育の姿を、私たちは描ききってはいません。子どもたちの生活環境や生育環境は予想以上に劣化し始め、発達障害や二次障害に苦しんでいる子どもたちが増えています。
 新しい教育が求められ、新しい境域における組織マネジメントが求められています。

      
2013年4月
「従来型学校経営の終焉?」(予定)
2013年4月15日 New
「困難な時代を教育はどう乗り越えるか!」      

組織マネジメント・レポート No.2

 従来型学校教育の終焉?

 「これれまで」が通用しなくなりつつあります。次号「組織マネジメント・レポートNo.2」では、従来型学校教育の寿命について考えてみたいと思います。 乞うご期待!

     

組織マネジメント・レポート No.1

 困難な時代を教育はどう乗り越えるか!

1 困難な時代
 いじめによる自殺、非行、学力低下論争、家庭の教育力の低下、規範意識の低下など、眼前で起こっている状況は、これからの教育の進むべき方向性を明確に見出すことができず、混沌とした状況の中にいるような思いを抱かせます。
 しかし、どんなに苛烈な状況を前にしても、あるいは「学校や教師の指導性は受け入れられる」という前提が成り立たなくなっているかのような厳しい現実を前にしても、多くの学校では、厳しい状況を乗りこえる仕組みや、子どもが豊かに成長するための教育条件を作り出そうと、校長のリーダシップのもとで教職員が一体となって頑張っているのではないでしょうか。
 困難な時代を、うまくかわすことで乗りこえるのか、困難をチャンスとして捉え、管理職が「やりがいのあるおもしろい時代」として様々な教育活動を、教職員と一体となって仕組んでいくのかによって、子どもたちの姿は大きく変わってきます。

2 学校の自主性・自律性
 今日ほど、学校の自主性や自律性が求められている時代はないのではないでしょうか。そして、学校の自主性が求められる背景には、学校にも「明確な経営戦略を持つことが必要な時代」が到来していることを示しているように思います。
 しかし、各学校は戦略を持つことや戦術を練ることに疎くなり、戦略や戦術を構築する発想や手立てについて問題意識を失っていたような状況もあるのではないでしょうか。
 小さな戦術を積み重ねても戦略が間違っていれば目標に到達することは困難です。これからの学校は、教育委員会の管理下で、指示のみに頼った学校経営が許される状況にはありません。
 教育委員会と各学校の経営戦略を関連させながら、各学校自前の経営戦略と目標を実現するための戦術が求められています。そして、保護者や地域と一体的に教育を推進することがますます重要になります。
 今後、教育委員会も学校も、眼前の教育課題を踏まえつつ、ビジョンを明確に示し、シンボル化した理念を共有し、共に新しい時代の教育を創造していく姿勢が求められているように思います。
 そのためには、
 ・オーナー感覚を持った教職員や保護者の育成
 ・保護者や外部の専門家との協働性の確保
 ・積極的な広報活動
などが重要です。
 これからの学校経営は、予期せぬ偶然的な出来事に出会いながら、試行錯誤的に推進していくことが多くなると思われますが、そこに、リーダーの不確実性を生かす機敏さやねばり強さ、頑固強さ、柔軟さなどの力量を発揮する場があるのです。

■ ・・・・ Comment ・・・・ ■
 深谷市教育委員会学校教育課長という仕事の傍ら、「学校組織マネジメント」というタイトルで連載を書き始めることになった最初の文章です。久しぶりにこの原稿を読み、「自分の思いや考えは、6年前と何も変わっていない」との印象を強く持ちました。「変わっていない」と思う原因が、「少しも成長していない自分にある」のか、「自分の思いが時代を反映できていない」のかはわかりませんが、時代の変化とそれに対応できていない教育への苛立ちは強くなる一方です。
 連載を始めてから6年。時代の混迷は増しており、子どもたちを取り巻く環境は悪化するばかりです。
 「『学校や教師の指導性は受け入れられる』という前提が成り立たない時代」が到来することを予想し、それに変わる仕組みや条件を創り出すことが求められている時代が来ることを予測していましたが、新たな仕組みを創り出すことは容易ではありません。
 この原稿を書いた当時は、「構造改革特区」という言葉が新聞紙上を賑わし、「改革」という言葉の意味がしっかりと論議されることのないまま、郵政や教育に関する改革が進みました。「自己責任」という言葉とともに、「自主性・自立性」が問われた時代でもありました。
 はたして、自己責任と表裏一体であったはずの「学校の自主性・自立性」は確立されたのでしょうか。
 学校は、「時代の変化」というチャンスを生かすことはできたのでしょうか。
 「学校教育の再構築」を可能にする項目として、5つを掲げました。
 @ 学校現場が推進する学校経営改革と支援(「支援」⇒「学校の教育改革を支援する教育委員会」)
 A 学校の自主性と自立性の保障
 B オーナー感覚を持った教職員組織の育成
 C 保護者や外部の専門家との協働性の確保
 D 学校の取組を透明性を持って積極的に広報する仕組み
 この5つの項目は、どれもがこれからの教育を創り出そうとするときになくてはならない事柄です。
 
時代は、教育に最前で携わっている私たちの想像を超える速さで変化しています。
 しかし、どんなに変化が激しくとも、教育の最前にいる者が方向性と軸を見失ってしまえば、子どもたちの未来は危うくなってしまいます。時代という激流の中で立ちすくみながらも変化の荒波に耐え、未来へ繋ぐ橋を架けるのは、私たち大人の仕事であり、教師の重要な仕事なのです。
 そのためには、上意下達を当然とする教育経営組織を転換しなければなりません。逆三角形ピラミッドで示したように、管理職や権限を有している者が現場の教育実践を下支えし、最前線で奮闘している教職員をエンパワーメントし、教育目標の実現に組織的に取り組まなければならない時代が訪れています。(久木)

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